成長発展計画に基づき、ビジョン・ミッションを策定、2012年度は実質的な計画遂行の初年度となりました。国際事務局からの財政的支援やオーストラリア支部からの技術的なサポートを得て、日本支部としての活動を展開。1月には翻訳コーディネーターを採用し、翻訳の質・量の改善やスキルアップ支援、支援ソフトによる翻訳作業の効率化を図りました。また、5月には、新たにファンドレイザー職員を採用し、会員等の分析を実施するとともに、公益法人に付与された税制優遇のメリットを活かし、10月に新たに定期寄付者(通称:ヒューマンライツ・サポーター)制度を導入しました。

国際キャンペーン(海外の活動)

武器貿易条約(ATT)

7月の国連交渉会議に向け、国際的なキャンペーンに積極的に参加した。署名は日本で4700 筆以上、国際的には62万筆以上集まり、7月3日に国連事務総長に手渡された。関連して、武器輸出大国である米、ロシア、フランスに向けたツイッタソン(ツイッターによるマラソン署名)を初めて実施。ツイッター・アクションの数は計れていないが、この期間にFacebook へのアクセスが増加するという波及効果があった。

日本政府に対しては、公開書簡、アムネスティ議連セミナー、NGO共同声明などを出してアムネスティの要請をアピールした。国連会議では、日本政府代表が積極的にイニシアチブをとろうとしていること、アムネスティの文書を読んでおり、さらに政府プレゼンの中でアムネスティにつ いて触れたと報告があり、一定の要請効果があったと評価している。なお、7月の条約交渉は決裂したが、11月の国連総会において、圧倒的多数で再交渉が採択され、2013年3月に最終交渉がニューヨークで開かれる予定である。

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「企業の社会的責任:ナイジャーデルタ」

日本国内でナイジャーデルタの問題の認知度を高め、情報公開や汚染除去が、企業が第一に果たさなくてはならない責任であることを、日本の資源系企業に対してアピールをした。オンラインとオフラインでのアクションを行い、CSR チームとアースデーにて署名を集めた結果、シェル社に対して汚染除去を求める署名は、日本で2,765、全世界で309,190筆集まった。働きかけの結果、シェル社は、汚染除去のための基金に相応の資金提供をすることを約束したが、対象となる地域が限定されている等、残された課題は多い。

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その他、国際的なアクションの連動

ロシア:プッシーライオットの釈放を求める活動

アムネスティは、拘禁されているプッシー・ライオットのメンバーの釈放を求めて、5月から世界中でキャンペーンを展開してきました。アムネスティ・ニュースレターや、WEBサイトでもUA(緊急行動)で取りあげました。そして、アムネスティのメンバーをはじめとする、世界中の人びとの働きかけが実り、メンバーの1人、エカテリーナ・サムツェビッチさんが、2年間の執行猶予が認められ、仮釈放されました。

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パキスタン:女性活動家の身の安全を求める活動

11月、パキスタンで教育の権利を求めていた少女マララがタリバンに銃撃されたことを受け、パキスタンやアフガニスタンなどの女性活動家の安全を求めるオンラインとハガキのアクションを実施した。アクションは大きな反響があり、結果として寄付増にもつながった。

ガザ空爆

11月中旬、ガザ/イスラエル紛争について、ツイッターによる緊急アクションをいち早くFacebook でアピールしたところ、わずか数日で「シェア」が1000件近くになるという大きな反響を得た。また、停戦合意後はアムネスティの調査団によるブログ報告を翻訳し、継続的に状況をFacebook にアップし、国際法違反について独立した調査を求めている。

シリア

泥沼化するシリアの内戦について、アムネスティ報告書を翻訳し、一般市民の犠牲が増えている問題を指摘、シリアの状況を国際刑事裁判所(ICC)に付託するよう要請した。また、増え続けるシリア難民の問題について、日本政府が積極的に難民支援に取り組むよう日本政府に向けた声明を発表した。

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国内法制度への取り組み(国内の活動)

取調べの全過程の録画(可視化)の法制化を求めて

取調べの全過程の録画(可視化)の早期法制化を求め、引き続き活動を行った。2~4月に集めた署名(計6933筆)を5月、民主党政調、法務大臣に提出した。東京では「可視化連続セミナー」を連続3回で実施する一方、日弁連の協力を得て、弁護士を派遣する「可視化出前セミナー」を 全国8カ所で実施した。

また、国際事務局とともに法制審議会への意見書を作成し、提出した。海外の捜査官を招いての院内集会と記者懇談会の実施(4月5日)では、議員、議員秘書をはじめ大勢が参加、特に記者懇談会では朝日、NHK をはじめ10人が参加し、活発な質疑応答があった。朝日は後日、連載記事としてその際のやりとりを特集記事の中で取り上げた。

11月7日、他団体共催で大集会「一部録画は可視化じゃない」を開催、社会派コント集団「ザ・ニュースペーパー」が出演し、300名近い参加者があった。

国内人権機関の設置を求めて

独立した国内人権機関の設置を求め、国会議員、法務大臣への働きかけを継続した。2月、他団体と共催で集会「私たちが使える国内人権機関を!」を開催し、翌日には院内集会を開き、国会議員にアピールした。3月、国際事務局から公開書簡「国際人権基準に合致しない国内人権機関設置案に対する懸念」を法務大臣に送った。さらに同月、記者懇談会を開催し、与党民主党(当時)が公表した国内人権機関の設置概要の問題点、国際社会から要請されているポイントは何か、を記者に説明した。政府は法案を作成したが国会上程を断念、政権が代わったことにより、当面、法制化の目処はたっていない。

危機にある個人

2012年、緊急行動(UA)は国際事務局から743本(更新・ストップ情報含む)届き、うち159本を翻訳した。2012年末時点でUAメンバーは計697名で前年比112%、オンライン参加者が若干増加した。プッシーライオットや死刑などいくつかのUAケースについては、ウェブサイトやFacebookなどでも紹介し、幅広くアクションを呼びかけた。

死刑廃止

3月27日、アムネスティの死刑統計の発表記者会見を実施。死刑制度を廃止したモンゴル共和国の大使が、ミニ講演を行った。

2011年は、19年振りに年間を通して死刑の執行がなかった。しかし2012年になって法相が交代。小川敏夫法務大臣に面会して執行しないよう要請したが、残念ながら3月29日に3名が執行された。さらに滝実法務大臣にも面会し、再度、死刑を執行しないよう要請したにもかかわらず、8月3日に2名、9月27 日に2名の死刑執行があった。執行を受け、抗議声明を出すとともに、記者会見、議員会館と法務省前で抗議行動を実施した。

また死刑確定囚の袴田巌さんの再審開始を求め、姉の袴田ひで子さんと支援団体による、全国スピーキングツアーを企画。豊中、明石、広島、大津、静岡、新潟、神奈川、東京の全国8カ所で開催した。

「死刑に異議あり!キャンペーン」では、「『厳罰・排除』から『寛容』な社会への転換を語り合う「カフェ・トレランス21」を7回実施した。

難民

日本の難民・収容

法務省・日本弁護士会・そしてアムネスティ日本も加わるなんみんフォーラム(FRJ)で覚書が交わされ、難民や収容の問題について、具体的な協議の場が持たれるようになった。今年はとくに、難民の収容回避を目指す収容の代替措置のモデルを確立するための検討が行われた。東日本入国管理センターにおいて、交渉の成果が結実し、被収容者対象の血液検査実施を含む改善が見られた。

アフガニスタンの国内避難民

アフガニスタンの国内避難民の権利を守るためのキャンペーンを行った。具体的には、アフガニスタンに関する東京会合で、人権の観点が盛り込まれるよう求めた。日本支部と韓国支部で集まった5,000 の署名が集まり、それぞれの国の外務大臣に届けられた。会議の成果物には、アムネスティが主張する国内避難民や女性の権利について、明文化された。

ロビー活動

5月23日、アムネスティ議員連盟主催により、7月の国連交渉会議に向け、専門家と外務省担当部局を招き、第34回国際人権セミナー「7月国連武器貿易条約(ATT)交渉の焦点と日本政府の役割」と題する院内集会を開催した。またアムネスティがメンバーであるICNK(北朝鮮における『人道に対する罪』を止める国際NGO 連合)として、国連に独立した調査委員会を設置するよう、院内集会や関係議員に働きかけた。

他団体への働きかけ

労働組合との協働

連合国際局との協力で、2012 年労働組合アクションのリーフレットを作成。会員、連合、自治労、連合所属の労働組合等で配布した。今回は働く女性の権利に焦点をあてたアクションで、家事労働などに従事する女性移民労働者などへの虐待のケースや、低賃金の女性労働者の問題など にフォーカスした。

6月10日の児童労働反対世界デーイベント「ぼくは5歳で兵士になった~元子ども兵士が語る最悪の児童労働~」を、NGO 労働組合国際協働フォーラム/児童労働ネットワークの構成団体・企画委員として行った。とくに2012年は、子ども兵士がテーマであったことから、シンポジウムのパネラーとして、子ども兵士と武器規制、紛争資源との関係に焦点を当てた発表・展示を行った。大阪事務所では、「STOP!児童労働アクション」として手紙書きイベントを行った。

企業の社会的責任(CSR)

グローバルな人権問題をテーマに、総合商社、資源系企業、電機企業、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク等と継続して意見交換を行った。いくつかの企業に第三者意見を提供し、ステークホルダー・ダイアログの場でNGO としての意見を表明した。また、いくつかの企業と、事業展開する国の人権状況についてのブリーフィングを行い、人権についての配慮や地域とのコミュニケーションの重要性を研修することができた。紛争鉱物と企業については、米国の金融規制改革法案を契機に、重要な研修テーマとなった他、関西の企業ネットワークでこのテーマでの講演を行った。

イベント

ライティング・マラソン

2012年11月下旬から12月中旬にかけて、「ライティングマラソン2012」と、その関連イベントを行った。まず、世界人権ウィークの始まりを記念し、12月6日に、アムネスティ日本の若林秀樹事務局長とヒューマン・ライツ・ウォッチの土井香苗日本代表が対談した。テーマは、「グローバルな視野で見直す日本人の人権意識」であった。

つぎに、12月4日では大阪で、10 日では東京でキャンドルイベント「シャイン・ア・ライト」を開催した。東京では、千個を超えるランタンを地面に並べ、国境を超え、人権を侵害されている人びとに思いを馳せた。

そしてライティング・マラソン。今年は北海道から沖縄まで、全国33箇所で開催。日本全国のメンバーが、それぞれの形でハガキ書きに参加した。

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中国・王丹初来日記念イベント

7月、天安門民主化運動の学生リーダーであった王丹を招聘し、映画「亡命」上映とトークで406 名を集客した。東京、朝日、読売、日経新聞、NHK-BS で来日のインタビュー記事や特集が組まれた。来日の時期にあわせ、ウェブサイトでの中国キャンペーンのページ公開、中国の人権活動家についてのアクション・キットを作成して、アクションを呼びかけた。

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世界人権デー記念コンサート

11月29日に、世界人権デーを記念したコンサート「荘村清志郷愁のショーロ&リベルタンゴ」を、渋谷区文化総合センター大和田さくらホールにて開催した。ギターのソロとギター、バンドネオン、ベースのトリオによるタンゴの二部構成で、演奏以外では、会場での世界人権デーイベントで使ったランタンを展示し、紹介をした。チケットを会員、労働組合、企業等の他、多くの方に550枚購入いただき、およそ100 万円の収益をあげた。

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