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日本の難民・移民

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日本は1981年に難民条約に加入し、難民の受け入れがはじまってから30年以上が経ちます。しかしながら、現在も実際に難民として認められる人の数はほんのわずかです。日本に逃れてきた難民の人たちは、どのような状況におかれているのでしょうか?

極端に少ない難民認定者数(2024年3月更新)

2023年、日本で難民として認定されたのは303人で、昨年の202人から101人増加しました。303人のうち237人はアフガニスタン出身者で、その多くがアフガンの政権崩壊後に、日本に相次いで避難してきた国際協力機構(JICA)の現地スタッフやその家族であることは留意すべき点です。数千から万単位の難民を受け入れている諸外国に比べると、日本の認定者数は明らかに低水準であり、保護されるべき難民が十分に保護されていない状況は依然として続いています。

難民申請者と認定者の推移
難民認定申請者と認定者の推移/出入国在留管理庁の統計より作成

難民として認められると、基本的には「定住者」という5年間の在留資格が与えられ、その後、法律上の要件を満たせば永住の許可が得られます。また、生活保障、就労・定住支援などのさまざまな権利が国から与えられます。迫害の恐れのある本国に送還される不安は取り除かれ、安心して日本で暮らしていくことができるようになります。

しかし、難民認定申請中の人たちは、いつか本国に送還されるかもしれないという恐怖の中、不安定な生活を余儀なくされます。日本政府による定住支援は受けられません。就労許可を得る人もいますが、在留資格が6カ月(延長可能)と短く、安定した職に就ける人は多くありません。また、就労許可を得ることができない人たちもいます。その場合、保護費といわれる最低限の生活保障で暮らすことになります。

  難民認定後 難民認定申請中
在留期間 5年
→要件を満たせば永住許可
3カ月から6カ月
または在留資格なし、など
定住支援 ×
生活保障
(生活費日額)
生活保護
(自治体や家族構成によって支給額は異なる)
保護費
(生活費は大人1,600円、子ども800円)
就労資格

日本では、難民認定申請が棄却された場合、その多くは退去強制を命じられてしまいます。国際法上のルールでは、生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ、難民の人たちを強制的に追放したり、帰還させてはいけません。このルールは「ノン・ルフールマンの原則」と呼ばれ、難民の人たちを守るためのもっとも重要なルールのひとつです。

日本に逃げてきた難民の人たちを強制的に帰還させ、命の危険にさらしてしまうようなことは絶対にあってはなりません。日本は真に助けを必要とする難民の人たちを保護する義務があります。

なぜ日本では難民認定が厳しいの?

保護の視点が不十分

「国が守ってくれない人を、国際社会で助けよう」というのが、難民保護の基本的な考え方です。保護をするのは、まずは逃れた先の国です。しかし、日本では保護するという視点から見ると、おかしな手続きがとられています。

例えば、審査の過程で難民の人たち自身が、客観的な証拠に基づいて、本国に帰れない理由を証明しなければなりません。しかし、迫害の事実を証明するのは難しいものです。命からがら迫害や紛争から逃れた難民の人たちが、客観的な証拠を持ち合わせていることはまれです。そのため、国際的な基準では、帰国できない理由を証明することが難しいという難民の人たちの特別な事情を考慮し、難民の人たちの利益にかなう形で難民認定の判断を下すことが求められています。

また、日本政府は証拠書類を日本語で提出することを求めており、難民の人たちに言語の壁が立ちはだかっています。日本に来て難民認定に申請する人たちのうち、ほとんどの人が日本語に堪能ではありません。そのため、証拠となる資料を自力で翻訳することはできず、また、翻訳費用を用意することも経済的に難しい場合がほとんどです。この言語の壁が、迫害の事実を証明することをさらに難しくしています。

難民の人たちをきちんと審査するためには、非常に高度な専門性が必要です。2005年より、難民に関する法律や国際情勢の専門家の人たちが難民の審理手続きの一部に加わり、日本政府に意見を提出する制度ができました。しかし、その専門家の意見には法的拘束力はなく、せっかく専門家が「難民認定」の意見を提出しても、国によって結局は「不認定」の判断が下されることがあります。

偽装難民が制度を濫用している?

難民認定率が低い理由について、「偽装難民」の問題がよく取りざたされています。日本政府は、日本での難民認定申請者の大半は「大量の難民・避難民を生じさせるような事情がない国々からの申請者によるもの」であるとし、偽装難民による制度の濫用を示唆しています。

また、日本政府は日本での難民認定申請者は「働き盛りの申請者が多数を占めている」としています。2010年3月に、難民認定申請から6カ月後に就労許可が得られるようになってから難民認定申請者が急増したこともあり、「そもそも難民ではない人が難民認定申請をしている」という制度の誤用・濫用がよく指摘されています。その結果、日本では難民と認められる人が少ないという見方があります。しかし一方で、日本政府が言うような「大量の難民・避難民を生じさせるような事情がない国」出身の難民の人びとであっても、他国では難民として認定されているという事実もあります。

本国で身の危険があるという事実がないにも関わらず、就労資格を得るために難民認定申請することはあってはなりません。真に保護を必要とする人たちの審査に悪影響が及びかねないからです。一方、難民申請者の多い国出身の人に対する審査を厳格にしているという報告も入っています。難民認定が恣意的に行われているのではないか、という疑念が残ります。

外国人の収容問題

日本に住む外国籍の人は、日本にいる資格(在留資格)を取得して、暮らしています。この資格を審査し、可否を判断しているのが、出入国在留管理庁(入管庁)です。入管庁はまた、オーバーステイ(在留許可期限を越えて滞在)などの理由で、在留資格がない非正規滞在の人たちを、行政権限で全国9カ所以上の施設で収容しています。

収容は人身の自由を奪う行為ですから、刑事手続きであれば裁判所の令状が必要ですが、入管の手続きでは不要とされています。いわば、警察官、検察官、裁判官、刑務官の役割を、入管という行政職員が行っているのです。チェック機能が働かない上に、入管職員に大きな裁量が与えられてしまっているのです。

もっと読む:長期化する収容

難民申請者が描いたハガキ
難民申請者が描いたハガキ

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難民チームは、日本国内に居住する難民や庇護希望者を中心に移住者の人権を守るための活動を行っています。具体的には、難民や移住者の人権問題を一般に広く知ってもらうためのセミナーやイベントの開催、海外資料の翻訳、政策提言、難民問題についての勉強会を行っています。

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2021年2月19日 日本:国際人権基準に則った出入国管理及び難民認定法改正を求める意見書

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