2019年11月23日(土)、「いのちを考える読書会」第3回を開催しました。
第1回はヴィクトール・ユゴーの『死刑囚最後の日』、第2回は薬丸岳さんの『Aではない君と』を読み、参加者のみなさんと読んだ感想などを共有しました。
第3回の今回は、和歌山毒物カレー事件の犯人として逮捕され、死刑判決を受けた林眞須美さんの長男である林浩次さんの著書『もう逃げない。-いままで黙っていた「家族」のこと-』を読みました。
この本は事件前後の林家の生活風景、事件が起こってからの周囲の人たちの反応、事件捜査の問題点、林家の子供たちの児童養護施設や学校での迫害体験、成人してから犯罪加害者家族として生きることの困難さ、母親や父親との現在の関係などを浩次さんの視点から描いた一冊です。
読書会では本を読んできての感想を共有しながら、浩次さん人生、犯罪加害者家族の問題、メディアスクラム、冤罪の問題など様々なことについて話し合いました。参加者の方の中には大阪と新宿で開催された浩次さんによるトークイベントに参加された方もおられて、その時のお話も聞くことができました。
感想として出たものの一部を紹介します。
- 林眞須美さんは「悪い人」というイメージがあったが、それはメディアによって作られたものだったのではないか。子供に対してはとても優しい母親だった。
- 「カエルの子はカエルやな」と養護施設の職員に言われていたが、そうではない。親が犯罪者でも子供が迫害を受けるのは間違っている。
- 浩次さんの高校時代に同級生だった女性に、その父親が言った「苦労してるだろうから、親切にしてあげなさい」という言葉が印象に残った。自分も人に優しくすることを実践していきたい。
- 子供を守るのが仕事の児童養護施設の職員や学校の教師がいじめに加担しているのはひどいし、性的暴行を加えていたのは許せない。
- 自分の娘が結婚相手として「死刑囚の息子」を連れてきたら結婚を認めてあげられるかを考えると、難しいかもしれない。
最後に本を紹介するためのポップを作成し、良いものを選んで投票し、1位から3位までを決めました。
あいにくの雨で足元が悪い中、初参加の方が何人も来られて、活発な議論ができたとても良い読書会であったと思います。ご参加いただいたみなさん、本当にありがとうございました。
これまでの読書会
実施日 | 2019年11月23日(土) |
場所 | アムネスティ日本 東京事務所 |
主催 | アムネスティ日本 死刑廃止ネットワーク・東京 |