12月17日、駒沢女子大学の須藤明教授をお招きして、講演会「罪を犯した子どもたち」を開催しました。須藤先生は長年にわたり、家庭裁判所調査官として非行を犯した子どもたちの声を聞く立場で活動されてきた方です。

約40名の参加者には青少年の問題に関わっている方々が多く、質疑応答は具体的で熱のこもった講演会となりました。このイベントを主催した、アムネスティ日本 子どもネットのメンバーが報告します。

まず、青少年犯罪の統計的データ紹介(凶悪犯の推移:2,119人/2004年→670人/2014年、など)に続いて、近年発生した3つの少年殺人事件の事例研究でその共通点を学びました。犯罪が結果として起きる前には、必ずそうなるまでの原因・課程が存在します。それを多様な視点で捉え、どのような発達の状態にいるのかを把握することが大切です。

非行・問題行動へのアプローチ 5つの観点

  • 非行を通してどのような欲求充足を図ろうとしているか
  • 非行を通してどのような不安を回避しようとしているか
  • 非行の中にどのような対象関係(対人関係)、行動パターンがあるか
  • 自我のコントロール力がどの程度あるか
  • 家族関係等、少年がよりどころとする関係基盤(支える環境)の質はどうか

問題行動の予防と対応

  • 過去の研究では、厳罰が効果的という証拠は出ていない
  • 単に反省させようとすると、不遇な生育歴の影響で被害者意識を強めて逆効果になることもある
  • 行動面の指導とともに、その背後にある心の内も視野に入れる
  • 身近な大人との人間関係(心の財産)の構築

万引きの事例について参加者がペアで考え話し合うワークをはさみながら、熱気ある2時間となりました。今回の少年犯罪というトピックは、話し方によっては深刻な雰囲気になりうるのですが、さすが青少年から話を聞く活動を長年務めていらっしゃる須藤先生は、犯罪を犯した青少年への「責任」と「教育的働きかけ」とのバランスが重要という、希望の持てる方向へと導いてくださいました。

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実施日 2017年12月17日(日)14:00~16:00
場所 アムネスティ日本 東京事務所
主催 アムネスティ日本 子どもネットワーク

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