イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ:ICCがイスラエルとハマスの高官への逮捕状を請求 正義への重要な一歩

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2024年5月22日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
トピック:地域紛争

国際刑事裁判所(ICC)検事局は、イスラエルのネタニヤフ首相、ガラント国防相、ハマス幹部のシンワル氏、デイフ氏、ハニヤ氏に対し、逮捕状を請求した。容疑はイスラエルとパレスチナ国、特にイスラエル占領下のガザ地区で少なくとも2023年10月7日から行われた戦争犯罪および人道に対する罪だ。

ICC検察官の行動は、ガザとイスラエルの人びとに対する壊滅的な行為の責任を問うという、すべての紛争当事者への重要な意思表示である。

武装組織の指導者も、軍幹部も、政府高官も、選挙で選ばれたかどうかに関係なく、どのような大義があろうと、誰も法の上に立つことはできない。いかに権力があろうと、いかに高い地位にあろうと、国際法上の犯罪の疑いがあれば、裁判にかけられ、責任を追及されなくてはならない。

今回の逮捕状請求は、イスラエルと被占領パレスチナ地域における数十年にわたる不処罰の連鎖を終わらせ、国際司法制度全体の信頼性を回復するための、長く待ち望まれていた機会でもある。

すべての国は国際刑事裁判所の正当性を尊重し、裁判官たちが完全な独立性と公平性をもって業務を遂行できるよう、脅しや圧力は控えるべきだ。

検察局が捜査を続ける一方で、予審裁判部には逮捕状を発行するかどうか迅速に判断することが求められる。ICCに加盟していない第三国を含むすべての国は、この判断を尊重しなければならない。逮捕状が承認された場合、すべてのICC加盟国はその執行を保証しなければならない。

背景情報

イスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防大臣に対して請求された逮捕状の容疑は、少なくとも2023年10月8日からガザ地区で行われてきた、ローマ規程に基づく戦争犯罪(民間人を飢餓に追い込んだ、攻撃した、故意に殺害した、重い苦痛を与えた)と人道に対する罪(飢餓などによる絶滅させる行為、迫害)だ。

ハマスの幹部3人については、10月7日から始まった、絶滅行為、殺人、強かんその他の性的暴力、人質を取る行為、拘束下における拷問その他の残虐な扱いなど、人道に対する罪および戦争犯罪が容疑である。

逮捕状の発行には、予備裁判部による審査・承認が必要だ。また、検察局は、捜査は継続中であると発表した。つまり、今後、他の犯罪行為や容疑者に対し、さらなる逮捕状が請求される可能性がある。

ICC検察官は、ガザと東エルサレムを含むヨルダン川西岸で2014年6月13日以降に行われたICCローマ規程に基づく犯罪に関して、2021年3月に捜査を開始した。アムネスティ・インターナショナルは検察官に対し、迅速な捜査に向け、直ちに具体的な行動をとるよう求めてきた。ICC検察官は、2023年10月29日と11月17日に声明を発表し、進行中の捜査は、2023年10月7日以降にイスラエルと被占領パレスチナ地域の全紛争当事者の行為も対象であることを示した。

イスラエル当局はこれまで、被占領パレスチナ地域でイスラエル軍が行った戦争犯罪やその他の違反行為に対し、迅速で徹底的な独立調査を行ってこなかった。また、パレスチナ当局も、ハマスやその他の武装組織による犯罪や違反行為を調査していない。

アムネスティがこれまでに収集した証拠は、2023年10月7日以降のものを含め、イスラエル軍が占領下のガザ地区において、民間人・民用物に対して無差別攻撃、直接攻撃を行い国際人道法に明白に違反し続けていることを示す。こうした行為は戦争犯罪として捜査されるべきだ。イスラエル当局はまた、ジェノサイドを防ぐために国際司法裁判所が命じた措置を遵守せず、十分な人道援助を意図的に妨げている。アムネスティは、2008年~09年、2014年、2021年の紛争においても、イスラエル軍が民間人・民用物に無差別攻撃や直接攻撃を行ったことを調査し発表している。

また、10月7日以降、ハマスその他のパレスチナ武装組織による、民間人の意図的な殺害、人質を取る行為、イスラエルへの無差別ロケット攻撃などの国際法違反も一貫して記録している。アムネスティは、ハマスとパレスチナ武装勢力に対し、ガザで人質として囚われ続けているすべての市民を無条件で解放するよう求めている。人質を取る行為は戦争犯罪だ。

アムネスティ国際ニュース
2024年5月21日

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