- 2024年4月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
「国連安全保障理事会が即時停戦を求める決議を採択してから1週間、国際司法裁判所が南アフリカのイスラエルに対するジェノサイド訴訟で追加の暫定措置を命じてから数日が経過した。各国は早急にこの措置を受け入れ、ラファでの犯罪行為阻止に向けた行動を起こさなければならない」。人道と人権の15団体はこう訴えた。
3月25日、即時停戦を求める法的拘束力のある決議を安保理が採択したにもかかわらず、イスラエルは、ラファでの軍事作戦を拡大する方針を明らかにした。
イスラエルのラファへの砲撃で、3月26日と27日の2日間だけで子ども14人を含む31人以上が犠牲になった。
人道・人権団体は、イスラエルがラファに地上侵攻すれば、少なくとも子ども61万人を含む130万人を超える民間人が命を落とすか、命綱の支援を受けられなくなるおそれがあるとして繰り返し警鐘を鳴らしてきた。
国際人道法が定める民間人の強制移動や強制送還の絶対的禁止規定に従うためにも、イスラエルには、避難した民間人が必要とする物資や居住場所を提供し、戦闘が終われば安全で尊厳ある帰還を保障するという、「あらゆる可能な措置」を講じる義務がある。「可能な措置」には、十分な安全と保護の提供、シェルター、水、衛生設備、医療、栄養の確保なども含まれる。
現在のところ、ガザ内外で十分な安全や保護が確保されている場所はない。イスラエルによる6カ月にわたるガザ地区への砲撃と敵対行為で、ガザ北部と中央部の60パーセント以上の住宅が損壊し、インフラは壊滅的な被害を受けた。
安全地帯と言われていたガザ地区西端のアル=マワシとその周辺では、イスラエル軍の空爆で少なくとも28人が犠牲になった。アル=マワシの北部は、以前にもイスラエルの地上部隊に侵攻され占領されたことがある。
人道支援団体がイスラエル軍にガザ地区全域の支援活動場所や団体の居場所の情報を提供しても、団体が支援する避難施設や病院、団体の車両が軍の砲撃を受け、支援する人たちが犠牲になり、車両が損壊した。
「人道的地域」に民間人を収容するというイスラエルの新たな提案は、またもや安全を装った茶番であり、民間人は「人道的地域」にいるかいないかを問わず、物資不足の閉ざされた狭い地域に押し込められ、いつ攻撃を受けるかもしれない状況に置かれることだろう。
住民が生き延びられるように医療、食料、避難所、教育などが十分に提供されている地区は、今のガザにはない。ラファでは、病院やパン屋、水や衛生設備など生活に欠かせないサービスやインフラが、ごく一部しか機能していない。壊滅的な打撃を受けたガザの北部や中心部は、インフラや地域全体が壊滅状態で、人道支援団体の活動も制限されている。2023年10月に設置された支援の調整機能やインフラのほとんどがラファを拠点にする中、ラファでの攻撃が激しくなれば、ガザ全域で人道支援がさらに難しくなるおそれがある。
ラファの家族や子どもたちは、常に恐怖と危険の中で暮らしている。すべての国は残虐行為から民間人を保護する義務がある。イスラエルはラファでの軍事作戦を拡大する意向を示し、3月31日に同国の戦争内閣がガザ最南部地区での地上作戦を承認して以来、ラファ侵攻の可能性は一層、高まった。
数カ国はイスラエルの対応に不支持を表明しているが、国際的な外交圧力や各国の声明は今のところ、イスラエルの侵攻を止めるには心許ない。一方で、各国には国際人道法と国際人権法を尊重する義務があり、一連の保護措置を取る手段がある。実際、以前にも他の地域で民間人保護が危うかった際には、こうした保護措置が取られている。
各国は今こそ、恒久的停戦の即時実施に向けた行動を直ちに起こし、国際人道法と国際人権法の義務に沿った民間人の保護に向けた選択肢をあらゆる角度から検討しなければならない。選択肢の一つは、国際人道法や国際人権法に対する重大な違反や違反を助長するおそれがある武器、部品、弾薬の移転を直ちに停止することだ。
即時停止と民間人保護以外の対応は、単なる失策ではなく、道徳的、人道的、法的な義務を果たしていないことを意味する。
署名団体
- セーブ・ザ・チルドレン
- 国際人権連盟
- アムネスティ・インターナショナル
- 世界の医療団:フランス、スペイン、スイス
- アクションエイド・インターナショナル
- オックスファム・インターナショナル
- ノルウェー難民評議会
- プラン・インターナショナル
- ヒューマニティ&インクルージョン
- パレスチナ人のための医療援助(MAP)
- 国際救済委員会(IRC)
- オランダ難民評議会
- ダンチャーチエイド
- アヴァーズ
- ケア
共同声明
2024年4月3日
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