- 2022年3月23日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:
英国の人権団体「香港ウォッチ」は、香港警察の国家安全部から刑事制裁の脅しを受けたことを明らかにした。
強権的な国家安全維持法(国安法)の下で表現と結社の自由の抑圧を強める香港政府が今回標的にしたのが、香港ウォッチだった。
この事実が示唆する特に重大なことは、当局が香港外で活動する団体にも攻撃の矛先を向け、摘発範囲を拡大していることだ。つまり、理屈上は世界のどの国にいても誰もが、国安法の適用を受けるおそれがあるということだ。
また、香港ウォッチの香港のウェブサイトが閉鎖に追い込まれたのは、当局が反対意見の封殺に、中国の常套手段であるオンライン上の検閲をますます強化していることを意味する。
人権活動家は、香港にいようといまいと、表現の自由の権利を行使して圧力を受けたり、起訴されたりするようなことがあってはならない。香港政府は、国安法を拡大適用した市民団体への容赦ない締め付けに、終止符を打たなければならない。
背景情報
香港ウォッチは3月14日、香港の国家安全部からベネディクト・ロジャーズ最高責任者に宛てた書簡を受け取った。「(中国への)制裁を外国政府に働きかけるなど敵意ある活動で、中国の安全を危うくしている」と香港ウォッチを非難する文面だった。
香港ウォッチによると、団体は、国安法の「外国勢力との共謀」で起訴されており、有罪の場合、ロジャーズさんは3年から終身刑までの実刑を受けるおそれがある。
香港当局が、他国の団体との提携や国際的活動をする市民団体を「外国勢力との共謀」罪で問う事例が増えている。
これまで香港で活動する100以上の市民団体が、国安法を適用され、解散や移転を余儀なくされている。弾圧の対象となった団体には、香港での多数の大規模デモを統括する団体、市民人権戦線、天安門事件の犠牲者の追悼集会を主催してきた香港市民愛国民主運動支援連合会(香港支連会)、労働組合、独立系メディアなどがある。
国安法は、香港の非居住者だけでなく香港未訪問者にも司法権が適用されると定めている。つまり、国籍や居住地に関係なく世界中の誰もが、中国の司法管轄下に入れば、たとえ通過するだけであっても、違法行為を犯したとみなされれば、逮捕・起訴されるおそれがある。
アムネスティ国際ニュース
2022年3月14日
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