ウクライナ:ロシア軍の無誘導爆弾で民間人多数が死亡

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2022年3月20日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ウクライナ
トピック:

ウクライナ北部、チェルニヒウでのロシア軍による空爆で、民間人47人が死亡したと報じられているが、アムネスティの調査で、この攻撃は戦争犯罪に相当する可能性があることがわかった。

3月3日午後12時過ぎ、チェルニヒウのヴィアチェスラヴァ・チョルノヴォラ通りにある広場が複数の爆弾の攻撃を受け、市民が殺され、周辺の建物が大きく損傷した。

アムネスティは、複数の聞き取りと動画の検証に基づき、「ダムボム」と呼ばれる重力によって落ちる無誘導爆弾少なくとも8個が使用されたこの攻撃が、ロシアの空爆である可能性が極めて高いことを確認した。

チェルニヒウの街を襲った空爆は、自宅や通り、店で日常を送る市民に対する無慈悲な無差別攻撃であり、良心を揺さぶるものだ。また、ウクライナの人びとがこれまで耐えしのいできた攻撃の中でも最悪だった。

国際刑事裁判所の検察官は、この空爆を戦争犯罪として捜査すべきだ。こうした犯罪の責任者は、法廷で裁かれねばならない。また、犠牲者やその家族は、十分な補償を受ける必要がある。

チェルニヒウ当局によると、この空爆で47人(男性38人と女性9人)が犠牲になった。アムネスティが検証した動画は、続けざまに投下された爆弾8発が1列になって落ちていく様子を捉えていた。

アムネスティは、今回、攻撃を受けた地域に、攻撃対象となるはずの軍事目標を確認することはできなかった。2月28日に撮影された衛星写真では、今回の爆撃の被害を受けた建物の外には、買い物客の行列が確認できた。この写真と市民の証言から、犠牲者の大半は、ミサイル攻撃を受けた時に食料品を買い求めて並んでいた人たちだったと思われる。

「すべてが破壊された」

爆弾が落ちた時、学生のアリーナさん(21歳)は、家族とともに自宅にいた。「とても大きなブーンという音が聞こえ、アパートが揺れ、窓ガラスが吹き飛び、建物が大きく揺れた。ブーンという音で祖母と廊下に飛び出し、床に伏せた。だから助かったのだと思う」

爆発があった時に通りにいた両親は、攻撃による被害を免れたという。「(攻撃の前)近くの通りにはパンを求める人の列があった。両親もパンを買いに行こうとしたが、列が長すぎて、結局あきらめた。列にいた人たちは、もうこの世にいない」

ユリア・マトヴィエンコさん(33歳)は攻撃があった時、3人の子どもと自宅にいた。頭部を負傷したユリアさんが、その時の様子を語った。

「廊下を歩いていたら、突然、耳が聞こえなくなり、何が起きたのかわからなかった。突然、ものが砕けて落ち、子どもたちが叫び声を上げた。私は、血を垂らしながら、子どもたちを瓦礫の下から引きずり出した。ドアも壁も窓も破壊されたけど、子どもたちにはかすり傷一つなかった。奇跡だ」

攻撃の様子を撮ったドライブレコーダーでは、落下する弾薬が確認でき、低空で素早く通過する航空機と思われる音が入っており、この種の攻撃における戦術と一致する。誘導弾よりもかなり精度が低い無誘導弾の人口密集地での投下は、広範囲な被害を出す無差別攻撃であり、無差別攻撃の禁止に違反する。

クライシス・エビデンス・ラボの検証

写真や動画、衛星画像などデジタル情報を分析するアムネスティのクライシス・エビデンス・ラボは、攻撃直後の建物や路上の死体を撮った映像を検証した。ウクライナの非常事態庁の映像にも、被害状況や怪我人を助け出す様子が映っていた。

アムネスティが検証した他の映像には、広範な破壊が確認され、500kg前後の爆弾でできたとみられる巨大な穴が映っていた。

空爆を受けた他の場所を撮った映像にも、民間の防衛隊が運び出した無誘導爆弾FAB-500の不発弾が映っていた。加えて、3月6日にロシア軍が公開した動画では、この爆弾8個を搭載した爆撃機スホーイ34が出撃していた。これは、ロシア軍が現在の作戦で取る典型である。

世界各国は、国際刑事裁判所と、国連人権理事会が設置した調査委員会に協力し、今回の攻撃のような重大な違反行為と犯罪に対する責任追及が果たされるようにしなければならない。そして、この紛争の犠牲者に正義をもたらすことも不可欠だ。

ウクライナで紛争が続く中、アムネスティはこれまでも、いかなる当事国も国際人道法、国際人権法を尊重するよう求めてきた。

アムネスティ国際ニュース
2022年3月9日

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