先住民族/少数民族 - カナダの先住民族

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カナダの憲法では、3つのグループが明確な先住民族として認定されています。ファースト・ネーションズ(北米インディアン)、メティス(先住民とヨーロッパ人の両方を祖先とする人々)、イヌイット(北極地方の人々)の3グループです。

カナダにおける先住民の人口は約117万人で、全人口の約4%を占めています。この内訳は、約60%がファースト・ネーションズ、33%がメティス、4%がイヌイットです(2006年)。

カナダは10の州と3つの準州により構成されています。準州では徐々に地域住民による自治権の拡大が図られ、教育、保健など州とほぼ同様の権限が認められています。一方、経済基盤が脆弱であるなどの理由により、連邦政府への財政的依存度が高いのが特徴的です。

イヌイット

カナダには、世界のイヌイット(彼らのイヌクティトゥト語で"人々"を意味する)のおよそ4分の1が住んでいます。そのほとんどは大陸北岸沿いや東西 4000キロ、北極諸島に点在するおよそ40の小集落です。1960年代、イヌイットの人々を定住させる政策が実施されたため、季節により移動していた 人々が定住し、その生活は大きく変わりました。1970年代には、自治と土地請求権の確立をめざす運動が始まり、1993年にカナダ政府との間で土地請求 権合意が締結されました。これは、土地35万km2(うち3万6000km2は鉱業権を含む)、14年かけて支払われる140億カナダドル超の補償金、土 地・資源の管理運用に関する決定への参加保障をイヌイットに与えるものでした。この合意により1999年4月、旧ノースウェスト準州が分割され、新しくヌ ナブト準州が誕生しました。ヌナブトとは、イヌクティトゥト語で「私たちの土地」を意味し、人口の85%をイヌイットの人々が占めています。自治は実現し たものの、高い失業率、薬物・アルコール依存や自殺などが問題になっています。

カナダのイヌイットはまた、グリーンランド、アラスカ、ロシアのイヌイットと共に、北極全体に関わるさまざまな重要問題に対処する国際機関、イヌイット北極圏会議を組織しています。

カナダのオイルサンド

アルバータ州には、粘り気の強い油を含む砂岩であるオイルサンドが大量に堆積しています。この堆積物はアルバータ州の原油埋蔵量の大部分を占め、アサバス カ、コールド・レイク、ピース・リバーの3つの地域に点在します。2003年に米国エネルギー情報局が原油の確認埋蔵量にアルバータ州のオイルサンドを加 えるようになり、カナダはサウジアラビアに次ぐ世界第2位の産油国とされました。

オイルサンドから石油を生産するには、原油より手間もコストもかかりますが、近年技術が進歩し需要が増え、開発は加速しています。埋蔵しているとされる場 所は、かつてファースト・ネーションズのチペワイアン族やクリー族が狩猟生活を営み、ビーバーやミンクの毛皮を売って生計を立てていた土地でした。 1970年代以降、事前の通告も話し合いもないまま開発は進み、先住民族は長年抵抗を試みてきました。しかし、森を失った人々に新たな生活手段を与えるた め、現在、チペワイアン族の首長は地元の経済団体の会長も務め、オイルサンド業界に協力しています。しかし、オイルサンドが埋蔵している地域には、その他 にも多くの先住民族の居住地があります。環境汚染や発癌率が高まっているとの報告もあり、懸念されています。

ルビコンクリー

1970年代、カナダのアルバータ州は、大規模な石油とガス開発に関するプログラムを開始しました。それらの開発によりルビコンクリーの人々の健康、生き 方、文化が荒らされてきました。1990年、国連人権委員会がルビコンクリーの人々の基本的人権が侵害されているという結論を下し、解決の努力を求めてい ますが、進展はありません。

2008年10月10日、アルバータ州公益事業委員会は、彼らの領土に大規模な天然ガスパイプラインを建設する計画を承認しました。これはルビコンクリーの人々との間に何の協定もなしに進められました。

アムネスティ・インターナショナル・カナダ支部がニュースリリースを出し、カナダの首相もしくはアルバータ州首相宛の手紙書きを呼びかけるキャンペーンを行いました。

ルビコンクリーと日本の関わり

1988年、アルバータ州政府は、大昭和・丸紅インターナショナル社に、ルビコン族の伝統的な地域である100万ヘクタールを含む400万ヘクタールの賃 借権を認めました。同社が論争地域で伐採を続けたため、ルビコン族側は大昭和社(2003年、日本製紙が吸収)の国際的ボイコットを始めます。ボイコット 活動は大昭和社の製造したパッケージを使用していた、複数の企業に向けたものでした。NGO「ルビコンの友」は48の企業に受注先を変えさせることに成功 し、その結果、大昭和社は1400万ドルも販売高が減少したそうです。この対立は、同社がルビコンの地域について再確認し、ルビコンの友が大昭和社に対す るボイコット活動とその他の抗議行動を停止することに同意した2000年、収束しました。

同化政策

カナダのスティーブン・ハーパー首相は2008年6月11日、過去の同化政策について先住民族を「深く傷つけてきた」ことを認め、公式に謝罪しました。

1874年以来、国内に住む先住民族の子どもたちは、教会が運営する132の寄宿学校に強制的に入学させられてきました。「先住民族の文化や信仰は劣って いて適切ではない」という考えのもと、独自の文化や言語が禁止され、英語を話し、キリスト教を信じるよう強要されました。さらに、校長や教師に暴力や性的 虐待を振るわれたと証言する先住民族もいます。

カナダ政府は1970年代までこのような寄宿施設に対して、補助金を交付し続けていました。

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