左から:佐々木聖子長官、中川英明事務局長(アムネスティ・インターナショナル日本)、牧山ひろえ議員(アムネスティ議員連盟事務局長)、井上哲士議員
在留資格の問題で長期収容されている外国人の中には、人生のほとんどを家族と一緒に日本で暮らしている人や、自国に戻ると迫害のおそれや命の危険がある難民認定申請者など、帰国できない理由がある人たちが多いと言われています。長期収容は、「身体の自由」を奪う扱いであるだけでなく、いつ釈放されるのか分からない収容者に多大な不安を与えるものであり、心身に過度のストレスを生じさせます。
2020年8月、国連人権理事会の作業部会は、日本の入管収容について「恣意的拘禁であり、国際法違反にあたる」という旨の意見を日本政府に通達しました。国際社会から厳しい評価を受けた今、国際人権基準に則った法改正が求められます。
出入国在留管理庁の佐々木長官との意見交換
アムネスティ・インターナショナル日本は2020年12月9日、出入国在留管理庁(入管庁)の佐々木長官に、外国人の長期収容をやめることと、難民の受け入れを求める要請書を、17,571筆の賛同署名を添えて手交しました。アムネスティ議員連盟のメンバーとともに、国際人権基準に則った出入国管理及び難民認定法の法改正に向け、佐々木長官と意見を交換しました。
アムネスティ・インターナショナル日本は、難民認定申請者を含む在留資格のない外国人を出入国管理上の収容および送還に起因する人権侵害から守るために、佐々木長官に次の3点を要請し、長官から法務大臣へ申し伝えていただくことを確認しました。
- ノン・ルフールマンの原則をいかなる場合でも遵守すること
- 出入国管理上の収容は必要な短期間に限るよう、収容期間に上限を設けること
- 抗議活動を行う収容者を仮放免で釈放し、短期間の後に再収容することはやめること
意見交換をするなかで、佐々木長官は「ご指摘の国際的観点も踏まえて、かなり大きい法改正にしなければいけない。またいろいろとご指導いただきたい」と発言され、改正法案をご提示いただき、再度アムネスティから具体的な意見をさせていただく機会を作ることを約束していただきました。
国際人権基準に則った入管法改正に向けて
2021年の通常国会を目指し、入管庁では出入国在留管理及び難民認定法の改正作業が進められています。超党派アムネスティ議員連盟のメンバーのお力添えもいただきながら、入管法改正に向けて、国際人権基準である次の4つのポイントについて、日本政府に提言するとともに、ひとりでも多くの国会議員にご理解いただけるよう、ロビー活動に注力する予定です。
- 出入国管理上の収容の目的を二つに限定すること
- 収容期間に上限を設けること
- 収容の決定について司法審査を導入すること
- ノン・ルフールマン原則を遵守すること