2020年6月30日、香港の「国家安全維持法」が可決、同日夜に施行されました。施行されてすぐに逮捕者がでるなど、香港の人たちのさまざまな表現の自由が厳しい取り締まりの対象になっています。

中国政府が同法の成立を急いだ理由の1つは、香港で9月に行われる立法会選挙で民主派候補を排除するためだといわれており、今後、民主派候補は国家安全法の標的にされかねません。

現在、アムネスティは「国家安全維持法」について調査を重ねており、香港の人たちの表現の自由を守るための活動の準備を進めています。引き続き香港の情勢を注視し、香港の表現の自由が不当に制限されることのないよう、世界中で声を上げ続けていきます。

アムネスティのこれまでの取り組み

香港国家安全法の導入に反対する署名116,344筆を提出

アムネスティは5月末から6月中旬にかけ、香港の国家安全法案の阻止を求める署名活動を全世界で展開し、日本国内での5,759筆を含め世界中から116,344筆の署名が集まりました。

そして6月18日、全国人民代表大会(全人代)で法案の審議が始まるタイミングに合わせて、世界中で一斉に中国大使館へ要請書とともに提出しました。

またこの間、アムネスティ・インターナショナルは85の市民団体と共同で、全人代常務委員長宛てに公開書簡を提出し、国際人権基準の順守を訴えかけました。

香港国家安全法の導入に反対する署名を提出。中国大使館前にて香港国家安全法の導入に反対する署名を提出。中国大使館前にて

外務省と意見交換を実施

香港国家安全法が導入される直前の2020年6月26日、アムネスティ日本は、外務省中国・モンゴル第一課および人権人道課の課長補佐と緊急の意見交換会を行い、国際人権基準から見た次の3つの懸念点を説明しました。

  • 表現の自由がどのように保護されるのかが不明瞭
  • NGOなどの人権活動が不当に制限されてしまう懸念
  • 国の安全に関わる新しい組織体制によって市民の人権が侵害される懸念

さらに、アムネスティ日本は外務省に対して、中国政府及び香港特別行政区が国際人権基準を順守するよう働きかけることを要請しました。意見交換会の最後には、香港をはじめ世界の人権状況の改善のために、今後も連携していくことを確認しました。

外務省と意見交換

活動をご支援ください

香港の国家安全法の施行は、香港市民にとって大打撃であり、人権にとっても大きな脅威であることは疑いようがありません。希望の灯を絶やさないためには、国際社会の支援が不可欠です。香港の人たちを人権侵害の脅威から守るため、寄付にご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。