2018年10月21日(日)、アムネスティ日本 死刑廃止チームは新宿アルタ前広場にて「死刑に賛成?反対?」という街頭アンケートを行いました。
正午から14時までの2時間で回答総数は137名。うち死刑に「賛成」と答えた人は77名(約56%)。「反対」と答えた人は51名(約37%)、「わからない」と答えた方は9名(約7%)という結果になりました。
回答者の属性は老若男女幅広く、また新宿という土地柄、多くの外国人観光客も足を止め、回答してくれました。
私たちが位置どったのは、新宿駅から歌舞伎町方面に向かう人たちと、アルタ前交差点から駅に向かう人たちが行き交う中間地点。そこで「死刑制度についてのアンケートをしています」と訴えると、ボードを目に留める人はとても多かった一方、実際に回答シールを手に取る方はたいへん少なく、30~40人に一人という感じでした。
逆に言えば、人の流れから抜け出て、わざわざシールを手に取ってくれるのは、それだけ答えに迷わない人なのかとも思えます。そのため、「わからない」という選択肢を選んだ人が珍しく少数にとどまりました。
ある父子は、父親が「賛成」に票を投じたあと、小学生の息子さんが「いくら何でも殺すのはひどいと思う~」と訴えていたのが印象的でした。また小学生3人組は「賛成」「反対」「わからない」と答えが分かれ、なんでなんでと話し合いながら去っていきました。
「単純なイエスノーでは答えづらい」とコメントしていく方、「選択肢に終身刑があったら、そっちに票を入れる」と答える方、「明らかに許せない犯罪者もいる。でも死刑囚の中にはえん罪の可能性もある人がいるんでしょ」と迷う方。
「なんのためにアンケートをしているんですか」という詰問に近い質問も受けました。アムネスティが死刑廃止を求めている団体であること、実際に街の人が、死刑についてどういう気持ちでいるのか知りたくてアンケートをしていると説明すると、「わかりました」といって「反対」に票を投じて行った方もいました。
結果的には、半数以上の方が「賛成」に票を投じましたが、会話をしてみると、「賛成/反対」ではない、細かな意見を聞くことができました。
会話のなかで強く感じたのは、「賛成」の意見が揺らぐのは、終身刑の導入が問われたときだということ。賛成票の方に「もし終身刑が選択肢に入っていたら、考えは変わりますか?」と聞いたところ、「犯人が社会に出てこられないなら、死刑制度でなくても構わない」という反応がおしなべて多かったのが印象に残りました。
「国民の8割が死刑制度に賛成している」とよく言われます。しかしその「賛成派」が、死刑という概念や制度について、本当はどういう感覚を持っているのか。今回の街頭アンケートでは、賛成派の方たちと会話することで、そうした細かい感覚を実際に聞くことができた、またとない機会となりました。
また、大きなボードを掲げてアンケートを呼びかけることによって、普段、死刑制度について無関心に過ごしていながらも、世論調査では8割の賛成派にカウントされてしまう人達に対して、少しでもこの制度の問題を問いかけることができたかと思います。
街頭アンケートは今後も企画していきたいと思いますので、どうぞ皆さんも死廃チームの企画にご参加ください。
2019年1月16日 岡本真菜
実施日 | 2019年10月21日(日) |
場所 | 新宿アルタ前広場 |
主催 | アムネスティ・インターナショナル日本 死刑廃止ネットワーク |