死刑判決を受けて、大阪拘置所に収監されている松本健次さんは、精神障がいと知的障がいを持つ死刑囚の1人です。罪は、兄と行ったとされる2件の強盗殺人でした。

健次さんは、母親の胎内にいるときに水俣病にかかったために、手足に感覚障がいや軽度の知的障がいを持っています。

兄から犯行を手伝うよう命令され、2件の事件に関与したとされています。事件が発覚した時には、兄は健次さんを警察に出頭させて、自ら命を絶ってしまいました。健次さんは主犯格とされ、1人ですべての責任を負わされ、死刑判決が言い渡されました。

弁護団によれば、健次さんは殺人の実行行為に関与していないにもかかわらず、健次さんが行ったものだと誘導的な取調べが行われたとのことです。

現在の健次さんは知的障がいだけでなく、長年にわたる狭い独房生活から拘禁症を患い、重い精神疾患を発症しかけていると診断されています。弁護人を含め、人とのコミュニケーションも大変厳しい状況になっています。

世界中で広がる署名活動

集まった署名はがき

アムネスティは、世界的中で松本健次さんをはじめとする精神障がいや知的障がいを持つ人に対するの死刑執行の停止を求める署名活動を行っており、法務省宛に要請ハガキや署名が届き始めています。

日本支部では、931筆の署名を集め2015年10月28日に法務大臣および厚生労働大臣へ提出いたしました。さらに、2016年1月6日に、1268筆の署名を法務大臣宛に提出いたしました。

世界では死刑廃止国が増えているなか、日本ではいまだに死刑執行が継続的に行われています。精神障がいを持つ人の場合、治療を受けることで改善することもあります。司法制度のなかで、精神障がいの治療を受ける機会の確保が必要です。

1984年に国連経済社会理事会(ECOSOC)では、精神障がいや知的障がいを持つ死刑囚へのセーフガードとして、死刑判決が下されてはならないと勧告しました。また、1989年には、国連加盟国が精神障がいや知的障がいを持つ者に対する死刑廃止を勧告し、判決時でも処刑時でも精神障がいがある者に対して死刑の適用は避けなければならないと決議しました。国連人権委員会も精神障がいや知的障がいを持つ者に対して死刑執行をすべきでないと勧告を出しました(2005/59)。最近では、2014年12月18日に国連総会決議69/186でも、同様の決議が採択されています。

アムネスティでは、今後も松本健次さんをはじめとした精神障がい等をもつ者に対する死刑廃止をめざして活動を継続していきます。

署名にご協力いただきました多くの方に深くお礼申し上げます。
ご協力をありがとうございました。

hrc_20160108_02.jpg集まった色とりどりのハガキ

署名提出日 2016年1月6日(水)
署名提出先 法務大臣

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