4月1日(水)、アムネスティ日本主催、アムネスティ議員連盟後援で、「死刑統計2014年」説明会を開催しました。
アムネスティ・インターナショナルは、毎年、世界で起きている死刑に関して統計を作成し、報告書を発表しています。今年も「世界の死刑統計2014」をもとに、世界同時に死刑廃止の世界的動向についての説明会を行いました。
世界の死刑統計2014・テロリズムと死刑
昨年は、テロや反政府組織による殺りくがより強調された年でした。世界で死刑廃止が進むものの、「テロ行為」に対する刑罰として死刑を利用する国ぐにが増えており、新しい流れも見える状況にあります。
世界の状況およびテロリズムと死刑について、ヤン・エリック・ヴェッツェル(アムネスティ・インターナショナル シニア・ポリシー・アドバイザー)が来日し、報告を行いました。
世界では、以前からの流れとして死刑廃止へ向かう国が増えており、現在約7割の140カ国が事実上・法律上死刑を廃止しています。
しかし、その一方で、ごく一部の1割の22カ国は依然として執行を続けています。今回の報告では、日本もその22カ国の中の1カ国であることを指摘し、日本政府に対し、死刑廃止を視野に入れた執行停止を求めました。
2014年の新たな懸念点として、テロリズムの問題が挙げられます。報告書では、テロ、犯罪、内情不安による安全保障上の脅威への対策として、死刑が利用され始めている現状が明らかになりました。
具体的には、中国は新疆ウイグル自治区に対する厳しい取り締まりのために死刑を利用しており、パキスタンは、ペシャワールで起きた悲劇的な事件をきっかけに、6年ぶりに死刑執行を再開しました。また、パキスタンはテロ事件だけでなく通常犯罪者に対しても死刑の適用を始めています。報告では、テロリズムに対する抑止力として死刑は作用しないことを指摘しました。
袴田事件から考える日本の死刑
2014年の大きなテーマとして、日本では、えん罪と死刑の問題が挙げられます。
袴田事件はそのきっかけともいえます。そして、袴田巖さんの再審開始決定および釈放から1年が経過しました。今回の説明会では、死刑廃止の世界的動向についての説明を行うとともに、巌さんの姉の袴田秀子さんをお招きし、この1年と最近の巖さんの様子についてお話を伺いました。(当初は巖さんも参加する予定でしたが、残念ながら欠席となりました。)
釈放から1年が経ち、巌さんの、長年拘置所で過ごしてきたことによる拘禁症※の症状はいまなお深刻ですが、少しづつ笑顔が出てきたそうです。また、将棋が好きで支援者と将棋をし、パソコンでも対局するそうです。(※拘禁症:長年拘置所で自由を奪われたことによって生じる精神の失調のこと。妄想、うつ状態などの症状がある。)
しかし、一方で、巖さんの裁判は1年が経過しても依然として終了せず、今後とも支援が必要です。アムネスティは、袴田巖さんの再審無罪のため、支援を継続していきます。
開催日 | 2015年4月1日(水) |
開催場所 | 参議院議員会館 |
主催 | アムネスティ・インターナショナル日本 |
後援 | アムネスティ議員連盟 |