UA(緊急行動)に関するさまざまな質問に、Q&Aでお答えします。
1.UAについて
Q. UAって何?
A. UA(Urgent Action=緊急行動)は1973年に個人を拷問から救い出すための手段として始められました。
それは、ある人に差し迫った拷問の危険があるとき、その国の政府に世界中から何千ものFAXや電報、Eメール、国際郵便が届くことで、世界が注目していることを知らせ、ひどい扱いを止めさせるよう圧力をかけるというシンプルな考え方に基づいています。
現在、年間約400件のUAと、300件の更新情報が発行されており、虐待だけではなく脅迫、死刑、強制失踪、強制送還、超法規的処刑、秘密裏の拘禁、強制立ち退きなどの多くの人権侵害事件を取り扱っています。
Q. UAはどのように配信されているの?
A. ロンドンにあるアムネスティの国際事務局では、毎日たくさんの人権侵害の疑いのある事件について情報を受け取っています。その情報源は、危険な状態にある人の家族や友人、地元の人権団体、釈放された囚人などですが、ときにはマスコミの報道から情報を得ることもあります。
まずアムネスティの調査員が事実を確かめ、それがアムネスティの取り扱うべき問題であり、事態がひっ迫していると判断すると、UAの原稿が国際事務局のUAチームに送られます。UAチームではそれを編集し、各国のアムネスティ支部にUAとして配信します。
Q. UAに参加している人はどのくらい?
A. 世界80か国でおよそ15万人がUAに参加しています。日本ではおよそ700人ほどです。ひとつのUAについて平均7,000件の手紙やFAXでアピールが送られています。
2.手紙の書き方について
Q. どのような手紙が一番効果的なの?
A. 要点だけを簡潔に書いた丁寧な手紙が一番効果的です。その国の政府や政治体制を非難するのではなく、国際法の基準にしたがって人権侵害を止めるよう求めることが重要です。
基本的に日本以外の国に送る手紙は平易な英文で書きます。長さは1枚を超えないようにします。
非常に弱い立場にある人の代理として手紙を書いていることを忘れず、手紙の文体や内容に充分配慮してください。
Q. 一個人ではなくアムネスティ会員として手紙を送ったほうがいいの?
A. どちらでも構いません。単にある人の苦境を知ったので心配していると書いてもいいですし、特に情報源が明記されていなければ、アムネスティから情報を得たと書いても結構です。
アムネスティについて言及する場合は、アムネスティについての簡単な説明をつけるといいでしょう。
Q. 英語で手紙を書くのは不安。手紙の見本はある?
A. 日本語訳があるUAについては、アピール文の例文がUAの最後にあります。例文の内容はアクションの要請に従ったものですが、必ずしもこの通りの文章で送らなくてはいけないということはありません。
Q. UA対象者の性別が分からないときはどうすればいいの?
A. 手紙の中では、なるべく対象者をhe/sheではなく常にフルネームで書くようにしてください。ぎこちない文章になりますが、ミスを防ぐためと、手紙を読む人に対象者のフルネームを覚えてもらうという効果があります。
3.手紙の送り方について
Q. UAに期限はある?
A. はい。UAには必ず期限が記載してあります。UAが発行されてからなるべく早く手紙を送っていただくことが望ましいですが、そうでなければ必ず期限内にお送りください。期限を過ぎた場合は、最新の状況について東京事務所にお問合せください。
Q. 手紙の宛先が複数あるけど、どこに送ればいいの?
A. 宛先は優先順位の高い順に並んでいます。全ての宛先に送ることが難しい場合は、最初の宛先に手紙を送ってください。「コピーの宛先」は決まった順番には並んでいません。
Q. なぜ手紙のコピーを送るの?
A. その国の政府当局に一層の圧力を加えるためです。もし在日大使館にコピーが届けば、大使館職員が自分の国のある事件について、日本の住民がどう考えているのか知ることになりますし、彼らは自分の国の政府にそれを報告する義務があります。
また、政府関係者は、自分たち以外の機関が手紙のコピーを受取っていると分かれば、あなたの手紙をより重要視します。コピーを送る場合は、手紙の最後に「cc」と書いて、コピーの送り先の名前を記載します。
Q. FAXが送れない場合はどうすればいいの?
A. 海外にFAXが届かない場合、さまざまな原因が考えられます。受け取る側のFAXの紙が切れていたり、電源が入っていなかっただけということもありますし、FAXがたくさん届きすぎて動かなくなっている場合もあります。
どうしてもFAXが届かない場合は手紙を送ってください。また、FAXが不通だったことを東京事務所にお知らせください。
Q. Eメールで手紙を送ってもいいの?
A. その国でEメールが効果的なコミュニケーションの手段であり、信頼できるEメールアドレスがある場合のみ、宛先にEメールアドレスが記載してあります。ただし、Eメールも一度にたくさん届きすぎると機械が壊れたり、アカウントを閉じられてしまうことがあります。
Eメールが届かない場合は郵便やFAXで手紙を送ってください。また、Eメールが不通だったことを東京事務所にお知らせください。
Q. なんでUAの対象者に直接手紙を送ってはいけないの?
A. UAの目的はその管轄の政府機関に人権侵害を止めさせることであり、対象者と直接連絡を取ることではないためです。刑務所によっては、囚人の手紙の受け取りを制限していたり、海外から手紙が届くことで彼らに危険が及ぶ可能性もあります。
4.UAの効果について
Q. UAには効果があるの?
A. UAが政府によい影響を与え、人びとを深刻な人権侵害から救い出してきた多くの事例があります。UAニュースではその一部をご紹介しています。
もちろん、全てのケースで効果があるわけではなく、アムネスティ以外の団体が同じケースに取り組んでいることもありますが、釈放された囚人やその家族は、UAがいかに彼らにとって重要であったか証言しています。
また、囚人の釈放などの目に見える効果だけでなく、たくさんの付随的な効果があります。例えば下記のようなものです。
- 深刻な人権侵害について常に誰かが注目していることを当局に知らせます。
- 当該政府にその行動が監視されていることを知らせます。
- 後に難民申請する際の資料になります。
- いやがらせや脅迫の程度を軽減します。
- 囚人、家族、コミュニティーに対する精神的なサポートとなります。
- いやがらせなどを受けている地元の人権団体をサポートします。
- 住民の安全が脅かされている小さいコミュニティーに世間の注目を集めます。
- メディアで報道されます。
Q. 更新情報ってなに?
A. 更新情報は、状況が大きく変わり、アクションの内容を変更する必要があるときに出されます。アクションを終了する必要があるときはストップ情報が出されます。例えば対象者に対する危険が去ったときや、処刑が実行されてしまったときなどです。
Q. 手紙に対する回答が届いたけど、どうすればいいの?
A. 政府や大使館、反対勢力などから回答があなたに届くことがあります。国によっては全く回答をしないところもあります。
回答が届いたら東京事務所にコピーを送ってください。東京事務所でそれらをまとめて、国際事務局の調査員に送付します。アムネスティの調査員にとって、手紙に対する回答は大変貴重な資料となります。
5.その他
Q. UA情報をメールや郵便で受け取ることはできる?
A. はい。「UAメールを申し込む」からご登録いただくと、最新のUA情報をメールでお知らせいたします。UAシートを月1回郵便で受け取ることもできます。詳細につきましては東京事務所までお問合せください。
Q. UAを個人のウェブサイトに載せることはできる?
A. はい。ただし、必ず更新情報やストップ情報がでたらアップデートしてください。また、期限を過ぎたものは削除してください。不正確な情報によって手紙が送られてしまうと、逆効果になってしまうことがあります。