カナダの先住民族ウェトスウェッテンの人びとが自分たちの土地と暮らしを守ろうとして、逮捕されたり嫌がらせを受けたり、強制的に立ち退かされたりしています。
ウェトスウェッテンの人びとが代々住む地域はカナダ西海岸の大都市バンクーバーから北に1,000kmほどにあります。自然豊かなこの地域の地下に液化天然ガス(LNG)のパイプラインを通すプロジェクトが進められており、ウェトスウェッテンの人びとは、飲料用水源であるウェジンクワ川(モーリス川)に与える影響を懸念して、2021年9月から掘削現場を占拠する行動に出ています。
そもそも、この地域の権利は、自決権が認められているウェトスウェッテンの人びとにあります。しかし、カナダ当局は住民の異議申し立てに耳を貸そうとしません。それどころか、警察は反対の声を抑え込もうと、抗議する人たちを監視し、武器をちらつかせて嫌がらせ脅しを加えています。強制立ち退きも報告され、これまでに逮捕された抗議する人たちや支援者たちは70人以上に上ります。
カナダ移民・難民・市民権大臣に対し、先住民族ウェトスウェッテンの人びとの自決権の尊重と抗議者の逮捕を止めるよう要請してください!
期 間: | 2022年8月30日~2025年1月末日(予定) |
要請先: |
ショーン・フレーザー(移民・難民・市民権大臣) ジョン・ホーガン(ブリティッシュ・コロンビア州首相) |
※要請先に、あなたの名前、メールアドレスを配信元として直接メールを送ります。
コースタル・ガスリンク社によるこのパイプライン敷設は、液化天然ガス(LNG)をアジア市場に輸出する大規模な産業エネルギープロジェクト「LNG カナダ」の一部です。カナダは、国内の化石燃料産業を積極的に開発し拡大する政策をとっており、カナダ連邦政府およびウェトスウェッテンの人びとが住むブリティッシュ・コロンビア州もこのプロジェクトを支援しています。しかし、ウェトスウェッテンの人びとの意思決定をまとめる伝統的なリーダーたちの同意なしにプロジェクトが進められています。
ブリティッシュ・コロンビア州の公安・法務局長は、ウェトスウェッテンの先祖代々の土地を守る運動と平和的な抗議行動の参加者を逮捕するために、2019年、2020年、2021年の3度にわたって王立カナダ騎馬警察の派遣を容認しました。逮捕にあたり、警察はヘリコプターまで出動させ、斧とチェーンソーでドアを打ち破り、室内にいる人に銃を向けるなど、過剰な力を用いました。これまでに支援者、ジャーナリスト74人が逮捕・拘束されました。
先住民族の権利に関する国連宣言(UNDRIP)の基本原則の一つに自決権があります。先住民の諸権利を自ら決定できる権利です。カナダはこの宣言を支持し、連邦法でもブリティッシュ・コロンビア州法もこの自決権を保障しています。しかし、カナダ政府とブリティッシュ・コロンビア州政府は、コースタル・ガスリンク社のパイプラインプロジェクトをウェトスウェッテンの人びと全員からの事前同意なしに承認しました。
国連人種差別の撤廃に関する委員会(CERD)は、カナダに対し、ウェトスウェッテンの人びと全員から同意を得られるまでパイプライン建設を中止することや、当局による監視や嫌がらせ、過剰な武力行使をやめ、こうした行為を調査することなどを求めています。
しかし、政府は今のところこれらの要請に応じていません。そんな中、リーダーたちはさらなる逮捕が深刻な人権侵害を引き起こすと言っています。