アムネスティ・インターナショナル日本
世界人権宣言

友だちと遊ぶ、好きなマンガを読む、
自分の考えを自由に言う・・・

あたりまえのことに思えるかもしれないけど、
このあたりまえは、みんなの努力で
作って守ってきたものなんだ。

こうしたあたりまえが、世界中、
いつでもどこでも守られるように、
とできたのが
世界人権宣言(せかいじんけんせんげん)」なんだよ。

「人間らしく生きるのに必要な権利(けんり)」、
つまり人権(じんけん)に関するもっとも基本的(きほんてき)なルールが30()書かれているんだ。

どんな30()か、見てみよう!

30条を全部見てみよう!
条文とイラストを組み合わせてみよう!

イラストと各条文(かくじょうぶん)は見てくれたかな?
今度はイラストだけを見て、どの条文(じょうぶん)をあらわしたものなのか考えてみよう。
似ている条文(じょうぶん)もあるから、まよったらヒントを見てみて。

1
みんな仲間だ

わたしたちはみな、生まれながらにして自由です。ひとりひとりがかけがえのない人間であり、その値打(ねうち)ちも同じです。だからたがいによく考え、助けあわねばなりません。

2
差別はいやだ

わたしたちはみな、意見の(ちが)いや、生まれ、男、女、宗教(しゅうきょう)、人種、ことば、皮膚(ひふ)の色の(ちが)いによって差別されるべきではありません。 また、どんな国に生きていようと、その権利(けんり)にかわりはありません。

3
安心して()らす

ちいさな子どもから、おじいちゃん、おばあちゃんまで、わたしたちはみな自由に、安心して生きていける権利(けんり)をもっています。

4
奴隷(どれい)はいやだ

人はみな、奴隷(どれい)のように働かされるべきではありません。人を物のように売り買いしてはいけません。

5
拷問(ごうもん)はやめろ

人はみな、ひどい仕打ちによって、はずかしめられるべきではありません。

6
みんな人権(じんけん)をもっている

わたしたちはみな、だれでも、どこでも、法律(ほうりつ)に守られて、人として生きることができます。

7
法律(ほうりつ)は平等だ

法律(ほうりつ)はすべての人に平等でなければなりません。法律(ほうりつ)は差別をみとめてはなりません。

8
泣き寝入(ねい)りはしない

わたしたちはみな、法律(ほうりつ)で守られている基本的(きほんてき)権利(けんり)を、国によって(うば)奪れたら、裁判(さいばん)を起こし、その権利(けんり)をとりもどすことができます。

9
簡単(かんたん)(つか)まえないで

人はみな、法律(ほうりつ)によらないで、また好きかってに作られた法律(ほうりつ)によって、(つか)まったり、()じこめたり、その国からむりやり追い出されたりするべきではありません。

10
裁判(さいばん)は公正に

わたしたちには、独立(どくりつ)した、かたよらない裁判所(さいばんしょ)で、大勢(おおぜい)のまえで、うそのない裁判(さいばん)を受ける権利(けんり)があります。

11
(つか)まっても(つみ)があるとはかぎらない

うそのない裁判(さいばん)で決められるまでは、だれも(つみ)があるとはみなされません。また人は、(つみ)をおかした時の法律(ほうりつ)によってのみ、(ばつ)をうけます。あとから作られた法律(ほうりつ)(ばつ)を受けることはありません。

12
ないしょの話

自分の()らしや家族、手紙や秘密(ひみつ)をかってにあばかれ、名誉(めいよ)評判(ひょうばん)(きず)つけられることはあってはなりません。そういう時は、法律(ほうりつ)によって守られます。

13
どこにでも住める

わたしたちはみな、いまいる国のどこへでも行けるし、どこにでも住めます。別の国にも行けるし、また自分の国にもどることも自由にできます。

14
()げるのも権利(けんり)

だれでも、ひどい目にあったら、よその国に救いを求めて()げていけます。しかし、その人が、だれが見ても(つみ)をおかしている場合は、べつです。

15
どこの国がいい?

人には、ある国の国民になる権利(けんり)があり、またよその国の国民になる権利(けんり)もあります。その権利(けんり)を好きかってにとりあげられることはありません。

16
ふたりで決める

おとなになったら、だれとでも好きな人と結婚(けっこん)し、家庭がもてます。結婚(けっこん)も、家庭生活も、離婚(りこん)もだれにも口出しされずに、当人同士が決めることです。家族は社会と国によって、守られます。

17
財産(ざいさん)をもつ

人はみな、ひとりで、またはほかの人といっしょに財産(ざいさん)をもつことができます。自分の財産(ざいさん)を好きかってに(うば)奪れることはありません。

18
考えるのは自由

人には、自分で自由に考える権利(けんり)があります。この権利(けんり)には、考えを変える自由や、ひとりで、またほかの人といっしょに考えをひろめる自由もふくまれます。

19
言いたい、知りたい、伝えたい

わたしたちは、自由に意見を言う権利(けんり)があります。だれもその邪魔(じゃま)をすることはできません。人はみな、国をこえて、本、新聞、ラジオ、テレビなどを通じて、情報(じょうほう)や意見を交換(こうかん)することができます。

20
集まる自由、集まらない自由

人には、平和のうちに集会を開いたり、仲間を集めて団体(だんたい)を作ったりする自由があります。しかし、いやがっている人を、むりやりそこに入れることはだれにもできません。

21
選ぶのはわたし

わたしたちはみな、直接(ちょくせつ)にまたは、代表を選んで自分の国の政治(せいじ)に参加できます。また、だれでもその国の公務員(こうむいん)になる権利(けんり)があります。 みんなの考えがはっきり反映(はんえい)されるように、選挙は定期的に、ただしく平等に行なわれなければなりません。その投票の秘密(ひみつ)は守られます。

22
人間らしく生きる

人には、(こま)った時に国から助けを受ける権利(けんり)があります。また、人にはその国の力に(おう)じて、(ゆた)かに生きていく権利(けんり)があります。

23
安心して働けるように

人には、仕事を自由に選んで働く権利(けんり)があり、同じ働きに対しては、同じお金をもらう権利(けんり)があります。そのお金はちゃんと生活できるものでなければなりません。人はみな、仕事を失わないよう守られ、だれにも仲間と集まって組合をつくる権利(けんり)があります。

24
大事な休み

人には、休む権利(けんり)があります。そのためには、働く時間をきちんと決め、お金をもらえるまとまった休みがなければなりません。

25
幸せな生活

だれにでも、家族といっしょに健康で幸せな生活を送る権利(けんり)があります。病気になったり、年をとったり、働き手が死んだりして、生活できなくなった時には、国に助けをもとめることができます。母と子はとくに大切にされなければいけません。

26
勉強したい?

だれにでも、教育を受ける権利(けんり)があります。小、中学校はただで、だれもが行けます。大きくなったら、高校や専門学校(せんもんがっこう)、大学で好きなことを勉強できます。 教育は人がその能力(のうりょく)をのばすこと、そして人としての権利と自由を大切にすることを目的とします。人はまた教育を通じて、世界中の人とともに平和に生きることを学ばなければなりません。

27
楽しい()らし

だれにでも、絵や文学や音楽を楽しみ、科学の進歩とその(めぐ)みをわかちあう権利(けんり)があります。また人には、自分の作ったものが生み出す利益(りえき)を受ける権利(けんり)があります。

28
この宣言(せんげん)がめざす社会

この宣言(せんげん)が、口先だけで終わらないような世界を作ろうとする権利(けんり)もまた、わたしたちのものです。

29
権利(けんり)と身勝手は違う

わたしたちはみな、すべての人の自由と権利(けんり)を守り、住み良い世の中を作る為の義務(ぎむ)を負っています。 自分の自由と権利(けんり)は、ほかの人々の自由と権利(けんり)を守る時にのみ、制限(せいげん)されます。

30
権利(けんり)(うば)う「権利(けんり)」はない

この宣言(せんげん)でうたわれている自由と権利(けんり)を、ほかの人の自由と権利(けんり)をこわすために使ってはなりません。どんな国にも、集団(しゅうだん)にも、人にも、そのような権利(けんり)はないのです。

人権について知っておきたい3つのこと
世界人権宣言ってなぜできたの?

日本が焼け野原になった、第2次世界大戦のことは知っているよね。この戦争では、本当にひどいことが起きたんだ。

戦後、世界の平和を守るためにできた国際連合(こくさいれんごう)で、各国のリーダーたちは、こんなひどいことを2度と繰り返さないためにはどうしたらいいか、考えた。 「人権(じんけん)を国内の問題だと大切にしてこなかったことが戦争につながって、おそろしい出来事を引き起こしたのだ」と反省して、 世界各国が協力して人権(じんけん)を守らなければだめだと決意したんだ。そしてそのためのルールづくりに取りかかった。 文化や宗教(しゅうきょう)政治体制(せいじたいせい)のちがう国の人たちが話し合って、1948年に「世界人権宣言(せかいじんけんせんげん)」が完成。

この宣言(せんげん)で一番大切なのは、わたしたちはみんな、生まれた時から自由で平等で、同じ人権(じんけん)を持っていると、と示したこと。 その後、この宣言(せんげん)をもとに、人権(じんけん)に関するいろいろな決まりごとができていったんだよ。

人権がなかったら、どうなるの?

自分の思ったことを自由に言うこと。好きな服を着ること。好きな音楽をきくこと。勉強したいと思ったら勉強できること。病気になったら病院に行ってお医者さんにみてもらうこと。家族や友だちといっしょに旅行すること。がんばって、大人になったらあこがれの仕事につくこと。これらはすべて、わたしたちが持っている「人権(じんけん)」なんだ。

人権(じんけん)がなかったらどうなるか、もう想像できるよね。

好きなことをする自由も、イヤだと言う自由もなく、どれいのようにこき使われるかもしれない。虫けらのようにあつかわれたり、毎日なぐられて、食べ物もないかも。

人権(じんけん)のないおそろしい世界にくらしたい人は、いないよね。

人権を知ることが大切

人権(じんけん)がみんなにとても関係していることは、もうわかったかな。あたりまえにあるから、特に知らなくてもいい?勉強するのはめんどう?

でもちょっと待って。
人権(じんけん)は人間らしく生きるために必要な、特別な権利(けんり)権利(けんり)が何かはちょっと(むずか)しいけど、「社会全体が守るべきルール(例えば法律(ほうりつ))にもとづいて要求できるもの」と言いかえることができるよ。

自分の人権(じんけん)がダメにされたら、あるいはされそうな時には、要求できるんだ。でもそれには何が権利(けんり)か知っていないと、要求もできないよね。仕方ないとあきらめてしまうかもしれない。

人権(じんけん)を知ることは、自分を守るためにも、とても大切なことなんだ。

教育関係者のみなさまへ

このウェブサイトで使用しているイラストや谷川俊太郎さんの日本語の条文を、人権教育の教材として活用しませんか。子どもたちが身近に「世界人権宣言」に触れ、人権への知識と理解を深めるきっかけになればと、自治体、教育関係者の方に、素材を提供しています。