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「拷問なんて、いらない!」キャンペーン

拷問って、中世の話ですよね・・・? いいえ、現代の話です。

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今でも、自白や情報を得るために、電気ショックや水責めなどの拷問を行っている国があります。しかしこうした肉体的に苦痛を与えることだけが拷問ではありません。人間の尊厳や品位を傷つけたり、心理的に追い詰めたりするような、精神的に苦痛を与える行為も、拷問として国際条約で禁止されています。

2014年から、世界各地の拷問を止めるために、アムネスティは「拷問なんて、いらない!」キャンペーンを国際的に開始しました。

【このキャンペーンで救われた人たち】

ルーレットで拷問方法を選ぶ!? 実際に使われていた拷問ルーレット

拷問を選ぶためのルーレット。フィリピンで実際に用いられている。拷問を選ぶためのルーレット。フィリピンで実際に用いられていた

2014年、フィリピンのルソン島ラグナ州の警察が、ルーレットで拷問方法を決め、被疑者を繰り返し虐待していたことが大きく報道されました。警察官たちは、ルーレットをまわしてどの拷問にするか決めていました。

「30秒間のコウモリ」= 被収容者が30秒間コウモリのように逆さまに吊るされる

「20秒間のマニー・パッキャオ(フィリピンのプロボクサーのこと)」= 20秒間殴られ続ける

こうした拷問は、警察が公開していない拘置施設で行われていました。少なくとも44人が被害を訴えています。

日本にもあるんです !

2003年、鹿児島志布志市で、選挙の票を依頼するためにビールを住民に配ったとして、警察は川畑幸夫さんに任意出頭を求めました。警察は、3日間、早朝から深夜にわたり川畑さんを取調べ、自白するように迫りました。

取調官は、「お前をこんな人間に育てた覚えはない」「じいちゃん、早く正直なじいちゃんになってください」など、川畑さんの父や孫が書いたような体裁をとった紙を川畑さんに見せ、その紙を踏ませました。

この「志布志事件」では、公職選挙法違反で13名が起訴されました。最長で395日間に及ぶなど、全員が長期に身柄を拘束されたうえで自白を強要されました。それが原因で、自殺を図った人もいます。結局、強引な取調べで得た証言には信用性がないと、全員が無罪となりました。

日本の拷問

日本には拷問を防ぐ仕組みがない!?

日本では、被疑者を警察署内に長期間勾留できる「代用監獄」制度があります。これは他の国にはないシステムです。その期間は最大23日間で、これも別件逮捕でいくらでも延長できます。ヨーロッパでは取調べを行う警察署内での勾留時間が24時間から長くて48時間であることを考えれば、異常な長さであることがわかります。

「代用監獄」の下、被疑者は1日中、警察の管理下に置かれ、時間制限もないまま取調べを受けます。そのため、精神的に追い詰められてウソの自白をする人は少なくなくありません。「えん罪の温床」と言われるゆえんです。

2014年3月27日、死刑が確定していた袴田巌さんに対して、 静岡地裁は再審開始を決定しました。袴田さんを「ウソの自白」に追い込んだのは、「代用監獄」の下で長期間の身柄拘束と時間制限のない取調べでした。

「代用監獄」は拷問を生む危険性が高いとして、国連拷問禁止委員会が廃止を求めています。

そのほかにも・・・

  • 取調べ中、弁護士が立ち会えない
  •   
  • 取調べの全過程の録音・録画制度がない
  •    
  • 取調べ時間の制限がない
  •    
 

など、取調べ中の拷問を予防するための対策として、国際的に必要と考えられている基準が守られていません。

言葉だけではなくならない

1984年、国連において拷問等禁止条約が採択されました。
この条約では、拷問の絶対的禁止が掲げられています。また、どのような取扱いや刑罰が拷問にあたるかを定義づけました。

しかし、155カ国が条約に加入している現在も、多くの国で拷問が報告されています。自白や情報を得るために警察や軍が人びとを秘密裡に拷問、また、人を処罰する手段として拷問が用いられています。2012年にアムネスティが拷問を確認したのは112カ国。政府が隠そうとするため、その正確な国数はわかりません。

拷問をなくしていくためには、「拷問はいけない」と言っているだけでは足りません。では、どうすればいいのでしょうか?

あなたの声が拷問を防ぐ礎になるのです!

ロンドンで行われた拷問禁止を求めたデモ拷問禁止を求めて行われたデモ・イギリス(C)Harrison Mitchell

拷問を防ぐには、監視する仕組み、拷問した人を裁く仕組みをつくることが有効です。

それが必要だと訴える声を、ひとつでも多く、拷問を黙認している国に届けること。それが今回のキャンペーンでアムネスティがやろうとしていることです。具体的な拷問事件について、それぞれの国に対応策をとるよう訴えていきます。

例えば・・・

  • 拘束された人が弁護士、医者、家族に会うことができるようにする
  • 取調べの全過程を録音・録画する
  • 取調べ中に弁護士が立ち会うことができるようにする
  • 拷問の申し立てを調査し、裁判によって加害者を処罰する
  • 刑務所、警察留置所、精神医療施設など人を拘禁する施設を監視する独立した機関をつくる

さあ、あなたもアクションに参加してください!

アクションキットを使って、活動を広めよう!

フィリピンの「拷問」と「正義」のルーレット

昨年、フィリピンで発見され、実際に警察官が囚人を痛めつける方法を決めるのに使用していたとされる「拷問ルーレット」。この「拷問ルーレット」と、拷問をな くすための具体策を示してくれる「正義のルーレット」を実際に作成し、拷問の実態と、拷問をなくすために私たちにできる事を一緒 に考えてみませんか?

拷問クイズ!「鬼」退治

クイズを通じ、拷問の実情を知ると同時に、何が問題なのかを一緒に考えませんか?パネルに描かれている拷問「鬼」の絵を、クイズに答えて消していくというもの。クイズは全20問。退治された鬼の絵に、新たな絵が浮かびあがります!

拷問のない社会をめざして

拷問の廃止は、アムネスティ・インターナショナルが50年にわたり取り組んでいるテーマです。これまでに1973年、1984年、そして2000年の3度にわたり、拷問廃止を求める国際的なキャンペーンを行い、拷問等禁止条約の成立など、拷問をなくすための国際的な枠組みづくりにつながっています。

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